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月別 アーカイブ: 2016年2月

多発性硬化症治療薬の著しい進歩

 
氏名 藤原一男
経歴 福島県立医科大学多発性硬化症治療学講座、教授
一般財団法人脳神経疾患研究所 多発性硬化症
視神経脊髄炎センター、センター長

 

 多発性硬化症(multiple sclerosis, MS)は脳脊髄に炎症による脱髄病変(脱髄とは神経線維を覆うミエリンが破壊されること、ミエリンは電線を覆うビニールのようなもので神経の情報伝達を速くするのに役立っています)が多発する疾患です。若年成人に起こりやすく我が国では1万数千人が罹患しており、年々増えています。
MSの症状は視覚障害、ふらつき、脱力、しびれ、記憶力の低下、排尿や排便の障害など様々ですが、無治療では再発を繰り返したり、しだいに病状が進行して不自由が増していく慢性の神経難病です。

 MSの再発を減らしたり、病状の進行を遅らせる薬を疾患修飾薬といいます。再発を繰り返すタイプのMS(再発寛解型MS)では、再発や脳病変を減少させる疾患修飾薬として、インターフェロンベーター(自己注射で皮下注と筋注の2剤がある)、フィンゴリモド(内服薬)、ナタリズマブ(点滴薬)が使用可能です。さらに最近、コパキソン(自己注射)も承認されまもなく臨床現場で使えるようになります。
一般に、インターフェロンベーターとコパキソンは第一選択薬(まずはじめに投与する薬)、フィンゴリモドとナタリズマブは第二選択薬(第一選択薬が効果不十分あるいは副作用で使えない場合、あるいは再発や脳病変が多い疾患活動性の高いMSでは最初から使う)に分類されています。
また、第一選択薬であるBG-12(内服薬)や歩行障害を改善する4-アミノピリジン(内服薬)の継続投与試験が進行中です。

 欧米ではさらに多くの薬剤がMSに承認されていますが、最近(H27年10月)スペインのバルセロナ市で開催され約9000人が参加した第31回ヨーロッパMS学会(ECTRIMS)では、これまで有効な薬のなかった慢性進行型MSにオクレリズマブというBリンパ球のCD20という分子に対するモノクローナル抗体製剤が病気の進行抑制に有効との治験の成績が報告され、またビオチンという物質を投与すると慢性進行型MSの症状を改善するという驚くべき結果も発表されました。
さらにこの学会では、MSの再発時に壊れたミエリンの再生(再髄鞘化)を促す抗リンゴ-1(LINGO-1)抗体という薬で、視神経炎の後の視覚誘発脳波所見の改善、すなわちこの治療薬により視神経炎の治りがよりよくなったことも報告されました。無論、これらの治療薬の有効性はさらに確認していく必要がありますが、MS治療の新たな可能性として大いに期待されます。


 このようにMSの治療薬の進歩は今や日進月歩ですが、その実際の投与についてはMS専門医とよく相談して自分に合うのかどうかを判断する必要があります。当クリニックではMSのセカンドオピニョン外来を第1、第3月曜日の午後に行っております(休診のこともありますので電話でご確認ください)。お気軽に御相談ください。

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