〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1
新大手町ビル1階、地下1階、地下2階

03-3516-7151

診療科紹介

内分泌・代謝内科 Endocrinology 医師紹介はこちら

担当・専門医:
三木 伸泰小野 昌美

診察のご案内

あらゆる内分泌臓器(視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺など)の疾患に対応します。
診療は、東京女子医大病院・内分泌内科における30年以上にわたる豊富な臨床経験を有する熟練医師の強力ペア(統合診療部門主任部長、間脳下垂体部門部長)が担当します。この二人は、世界最高峰のアメリカ内分泌学会から3度も顕彰されており、2008年度は年間最優秀臨床研究論文賞(表彰盾、賞金1万ドル授与)、2011年度には下垂体部門のNo.1臨床論文賞(Paper of the Year賞)を受賞しています。日本人医師としては初めての偉業です。 2016年には最新臨床研究抄録(Late-breaking abstract)にも選ばれました。また、大学在籍中の2000年に開始し、その後全国に広がった内分泌内科と脳外科との診療連携を発展させ、東京クリニックでは内分泌内科と脳外科、産婦人科、小児内分泌科、循環器内科とのハイレベルの診療連携を行い診療の質をさらに向上すべく励んでいます。

診断と治療に必要な内分泌検査は、網羅的ではなく、必要最小限の検査で迅速、効率的に行います。CTやMRIなどの画像診断は撮影した当日の外来で直ちに判読します。診断のための内分泌負荷試験(正確には、ホルモン刺激、または抑制試験)も外来で安全に行えます。入院は不要です。治療は個々の患者様にあう最善の治療法、治療薬を提示し、国際ガイドラインに基づいて行います。手術や放射線治療が必要な場合は、その理由を懇切に説明します。そして、その厄介な合併症、特にホルモン補充が終生必要となる下垂体(前葉)機能低下症、尿崩症についても十分に情報提供します。
文藝春秋SPECIAL 2011年秋号の名医特集で紹介されたように「すべては患者のために」を座右の銘とし、皆様が得心、安心される診療が目標です。

現在でも、毎年、本邦および米国の内分泌学会、およびその関連の小児科、内科、外科系の五つの学会に参加し、臨床研究成果の発表を続けています。

代表的な内分泌疾患

総論

内分泌とはホルモンとほぼ同義です。ホルモンの主な作用は成長、生殖、抗ストレス、恒常性維持です。
内分泌疾患はホルモン産生臓器、器官に発症する病気で、その大きな特徴は、まず第1に全身の多くの臓器、器官に発生することです。これには、視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓、腎臓、性腺などを含みます。 その結果、多臓器のホルモンを扱いますが、個々の臓器例えば下垂体だけで8種類のホルモンが産生されます。

第2の特徴は、多くの内分泌臓器、器官の病気は単独で起こるのみならず、複合的にも起こります。特に、視床下部は下垂体を、下垂体は甲状腺、副腎、あるいは性腺を制御するという巧妙な三段階の調節を受け、常に連動して働いています。
また、内分泌臓器の病気で別の臓器の病気、例えば甲状腺の病気で不整脈、高脂血症や糖尿病が起こり、副腎の病気で高血圧、糖尿病や慢性腎臓病が起こります。内分泌疾患は、高血圧、肥満、糖尿病、心血管疾患など一見無関係に思われる病気に潜むサイレント・キラーなのです。

第3の特徴は、内分泌疾患は現れ方がホルモン欠乏症と過剰症として全く異なった症状を呈することです。重症では診断は容易ですが、軽症では心身症などと誤診されることがあります。
さらに複雑であることに、あるホルモンの値が本来は低下、または増加しているはずの状態で正常レベルを維持していることで、これを不適合(不適切)分泌と呼びます。高齢者に多い電解質異常、特に低ナトリウム血症を起こす抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌が代表的疾患です。

内分泌疾患は頻度的には糖尿病と甲状腺疾患が多いのですが、以上のように、多臓器、多ホルモン、単独・複合臓器異常、ホルモン欠乏・過剰・不適合分泌という、極めて多彩で複雑な症状が現れます。その結果、合併症も多彩で肥満、高脂血症、高血圧、メタボリック症候群、心血管疾患を高頻度に併発します。
豊富な臨床経験と臓器別診療科横断的な臨床能力を有するベテラン医師が必要とされるゆえんです。
間脳下垂体疾患の多くは難病医療費助成の対象疾患であり、三木・小野両医師は成人および小児慢性特定疾患指定医に指定されています。迅速に申請手続きをしますので、ご希望の患者様は遠慮なくお申し出ください。

臓器別疾患と症状の一覧
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    頭痛、視力低下、視野障害 視床下部腫瘍
    偶然に発見された下垂体の嚢胞、腫瘍(下垂体偶発腫) ラトケ嚢胞、非機能性腫瘍
    倦怠感、活力低下、冷え症、無月経、体毛減少 下垂体機能低下症
    月経不順、無月経、乳汁分泌、男性機能低下、男子不妊 プロラクチン産生腫瘍
    高プロラクチン血症
    顔貌の変化、手足の肥大、発汗、高血圧、糖尿病 先端巨大症
    丸顔・赤ら顔、肥満、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症 クッシング病
    成長障害(小児)、活力低下、内臓肥満・メタボ(成人) 成長ホルモン分泌不全症
    口渇、多飲、多尿 中枢性尿崩症
    低ナトリウム (Na)血症  SIADH (ADH不適合分泌)
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    甲状腺腫、体重減少、動悸、振戦、眼球突出 バセドウ(グレーブス)病
    耐寒性の低下、皮膚乾燥、便秘、高脂血症 橋本病、甲状腺機能低下症
    甲状腺の腫瘤(しこり) 甲状腺腫瘍、癌
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    高カルシウム (Ca)血症、尿路結石、骨粗鬆症 副甲状腺機能亢進症
    低Ca血症、テタニー、高リン (P)血症 副甲状腺機能低下症
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    満月様顔貌、肥満、糖尿病、高血圧 クッシング症候群
    高血圧、低カリウム (K)血症、糖尿病、脱力感 原発性アルドステロン症
    高血圧(時に発作性)、糖尿病、動悸、発汗 褐色細胞腫
    偶然に発見された副腎の腫瘍(副腎偶発腫) 副腎腺腫、癌
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    先天性性腺機能不全、不妊症(男子、女子) 原発性性腺機能低下症
    後天性性腺機能不全、不妊症(男子、女子) 続発性性腺機能低下症
    思春期早発症、遅発症 脳腫瘍、性腺・副腎腫瘍
    月経異常、肥満、多毛 多嚢胞卵巣症候群
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    尿糖陽性、高血糖 2型(成人発症型)糖尿病
    低血糖 インスリン産生腫瘍
    膵腫瘍、ホルモン非産生腫瘍 膵神経内分泌腫瘍
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    通常の高血圧 本態性(1次性)高血圧
    治療抵抗性高血圧、合併症併発型高血圧 重症、難治性高血圧
    2次性高血圧(若年発症、高レニン性、難治性高血圧) 副腎性高血圧
    腎血管性高血圧など
  • 症状および所見 疑われる内分泌疾患
    内臓脂肪過剰蓄積(ウエスト≧85cm男性 、≧90cm女性)および 脂質異常症(中性脂肪≧150mg/dL、善玉コレステロール<40mg/dL)、 前高血圧(上の血圧≧130mmHg、下の血圧≧85mmHg)、 空腹時高血糖(≧110mg/dL(糖尿病も含む)の2つ以上 メタボリックシンドローム、直訳は代謝症候群。ストレス過剰が密接に関与するというのが私どもの見解です。

診療中の主な内分泌疾患とその基本的治療方針

  • 診療実績1160名で患者数、妊娠達成率ともに最高級レベル(2019年2月現在)
    カベルゴリン(商品名カバサール)という薬が第1選択の治療です。
    私どもの治療方針が最新の国際ガイドラインに採用されています。
    手術は推奨されていません。不成功例と再発例が多く、不妊症になることもあります。 カバサールを個々人に合わせ適切に調整すれば性腺機能低下症は回復します。 39歳までに治療開始すれば高率に妊娠可能でした。カバサール治療は腫瘍も高率(88%)に消滅します(2017年間脳下垂体腫瘍学会発表済)。
    治療成績は、患者数、PRL正常化率、性腺機能低下回復率、妊娠症例数、すべて世界最高級レベルです。

    即ち、2009年度米国内分泌学会で最優秀臨床研究論文賞を受賞、2011年度米国内分泌学会で下垂体部門No.1論文賞を受賞、2016年度米国内分泌学会で最新・最高の高インパクト演題(late-breaking abstract)に選出されました。
    なお、2007年にカバサールの副作用として報告されたパーキンソン病での心弁膜症は、国際的にも、自験1000例以上の患者さんでも追試・検証できず、現在では問題ないとの見解に統一されつつある。現在の治療で排卵性月経が回復しない、あるいは妊娠できない方は是非一度相談にお越し下さい。

  • 外科手術が第1選択ですが、手術が不可能な場合や、手術で腫瘍が残存した場合には内科的薬物治療が行われます。薬物はカバサール、ソマトスタチン誘導体、GH受容体拮抗剤です。
    薬物はソマトスタチン誘導体が第1選択ですが、有効率は30%台で完治は期待できません。GH受容体拮抗剤はGH過剰症をよくコントロールしますが自己注射が必要で腫瘍は消失できません。

    我々の開発したカバサール治療は2年で有効率84%、5人に1人以上は完治しました(2018年度 日本内分泌学会総会で報告)。  残存腫瘍に対する放射線療法(γナイフ、サイバーナイフ)も情報提供します。手術の相談も受け付けます(名医の紹介、手術合併症、残存腫瘍対策など)。

  • 多くの原因疾患は大型、浸潤型の下垂体腫瘍と視床下部腫瘍(頭蓋咽頭腫、胚細胞腫)です。
    しばしば、手術後に悪化、または新規発症します。
    最近では自己免疫性疾患であるリンパ球性下垂体炎や胎生期の遺残組織であるラトケ嚢胞が原因疾患として増加してきました。

    • 生命の維持に必須の副腎皮質ホルモンは適切に、副作用なく補充されていますか。
    • 副腎皮質ホルモンの種類、量、作用時間、そして服薬のタイミングを理解していますか。
    • 甲状腺ホルモンは適切に補充されていますか。他のホルモンや食事との関係はご存じですか。

    下垂体、視床下部が原因の中枢性甲状腺機能低下症の治療は通常の機能低下と異なります。性ホルモンは健康を維持し、筋力や骨強度の低下、寝たきり防止のため男女とも必須です。
    性ホルモン治療は年齢や挙児(子供)希望の有無で種類、治療量、治療期間が異なります。すなわち、適切に性ホルモンが補充されていないと体調は万全になり難いことが多いのです。
    当クリニックの治療により子宝に恵まれた適齢期の患者さんが多数いらっしゃいます。成長ホルモン治療は上記ホルモン補充を完全に行い病状が安定した後に開始するのが妥当です。この注射は将来の心血管疾患、糖尿病新規発症、発癌の危険性も考慮して行う必要があります。

  • 2013年の6月から本邦でも尿崩症の経口治療薬(舌下錠)ミニリンメルト使用が認可されました。当クリニックでは日本で最多の200人近い患者さんにミニリンメルトを使用しています。
    その使用経験から、新規に確認された事実がいくつかあります。すなわち、点鼻薬デスモプレシンからの切り替えは外来でも実施できます。点鼻薬との併用は可能ですが、花粉症を含むアレルギ―性鼻炎があると点鼻薬の効果が低下し、効果不安定となります。

    ミニリン舌下は必ずしも1日3回する必要はなく1日2回でも十分です(97%の患者)。ミニリンを舌下するタイミングは、食事の時刻を考慮すれば、必ずしも朝食前、就寝前でなくても問題ありません。ミニリンメルト舌下錠の服薬量は体重に影響され体重過多の人は多めが必要です。

  • 本邦における最多疾患で、専門的には本態性(一次性)高血圧といいます。その基準は140/90mmHg (水銀柱) 以上です。上(収縮期)の血圧だけが140以上、または下(拡張期)の血圧だけが90以上あっても高血圧となります。つい最近、大規模臨床試験(SPRINT試験)で高血圧患者の血圧を140/90からさらに低下すると心血管疾患の合併症が大幅に低下することが証明され、米国の医学会は2017年、欧州の学会は2018年に、降圧目標を130/80に下げました。心血管合併症を予防するため、血圧の厳格な管理はますます重要になってきました。

    高血圧はなぜ治療すべきか、その理由は「長生きできない」からです。なぜ短命になるのか、その訳は高血圧の合併症(心血管疾患)で「早死にする」からです。高血圧を適切に治療すれば天寿を全うできます。

    内分泌疾患に伴う高血圧(2次性高血圧)では、治療抵抗性高血圧、あるいは難治性高血圧の頻度が増えます。内分泌性高血圧はホルモンの心血管に対する直接作用と、体内塩分貯留や血管の過剰収縮などによる間接作用により、複合的な機序で血圧を上昇させるからです。高血圧を惹起する代表的な内分泌疾患は、頻度としては圧倒的に原発性アルドステロン症が多く、それ以外にも褐色細胞腫、クッシング症候群などの副腎疾患です。下垂体疾患や甲状腺疾患でも発症します。

    治療のコツはホルモン拮抗剤を適切に調整して使用することですが、通常は本態性高血圧に用いる用量よりも多くを要します。また、特に高血圧の期間が長い患者さんは、他の降圧剤との併用が有効です。
    当科ではABCDと分類されるあらゆる種類の降圧剤を、その効果と副作用に精通し縦横に使いこなして診療に当たります。また、心臓、腎臓、脳血管の合併症も超音波、脈波、MRIを用いて的確に評価し、合併症を認めれば並行治療します。なお、最近の血圧の評価は世界的に家庭血圧が重視されるようになりましたので、家庭血圧計の購入を勧めます。

  • 内分泌疾患に合併する疾患では脂質異常症、高血圧症に続いて頻度が高いのが糖尿病です。内分泌疾患の適切な治療により糖尿病は軽快しますが、時には専門的治療を要します。当クリニックでは、食事指導とガイドラインの第一から第三選択の糖尿病薬を使いこなし、インスリン使用中であった患者も含め、大多数例で内服薬に変更し良好なコントロール状態を達成しております。
    まれに、経口糖尿病薬と一日1回の持効型インスリンを併用することがあります。なお、1型糖尿病ではインスリン治療が原則です。

診察日時

時期や月ごとに、医師の診察日に変動がございます。受診をご検討の際は、診療担当医表(毎月更新)をあわせてご確認ください。

この表はスワイプできます